NHK番組「猫のしっぽ カエルの手」は、京都大原の古民家に暮らすイギリス人ハーブ研究家のベニシア(ベニシア・スタンリー・スミス)さんの手作りの暮らしを紹介する紀行番組。2009年4月5日からNHKデジタル衛星ハイビジョンで、2011年4月8日からは新設されたNHK BSプレミアムで金曜日19時30分から放送されていた。その番組の主役ベニシアさんが、2023年6月21日(享年72歳)に、肺炎で亡くなっていたことを、昨日、知った。ショックだった。
ベニシアさんは、イギリスのロンドン出身。おじいさんは子爵なので、貴族のお孫さんということになる。19歳の時に、バックパッカーとしてインドにわたり、1971年21歳の時に、舟で日本に渡り鹿児島に移住。1974年(23歳頃)に日本人男性と結婚し、3人の子供を授かった後、離婚。1978年(27歳頃)には、京都府長岡で英会話学校「ベニシアインターナショナル」を設立。1992年(41歳頃)には、山岳カメラマンでインド料理店経営の梶山正氏と再婚。梶山正さんとの間に、男児1人授かっている。1996年(45歳頃)には、京都の大原の古民家に移住し、ガーデニングを開始。2002年(51歳頃)に、 NHKの「わたしのアイデアガーデニングコンテスト」で特別賞を受賞。ハーブ研究家としてハーブ教室を始める。2007年(56歳) には、「ベニシアのハーブ便り」を上梓。その後、多くのエッセイ本やDVDを出版している。2009年(58歳頃)には、NHKテレビ番組「猫のしっぽ カエルの手」の放送開始。2013年9月14日、NHKのスタッフによるドキュメンタリー映画「猫のしっぽ カエルの手 京都 大原 ベニシアの手づくり暮らし」が公開になった。
ベニシアさんを著名にしたのは、3つの分野の達人だったら・・・。1つ目は、四季折々の草花が美しい庭づくりの達人、2つ目は、美しく整った古民家での住いづくりの達人、3つ目は、料理やお茶だけではなくハンドクリームなど日用品にまでハーブを使うといったハーブ使いの達人だ。
ベニシアさんは、掃除、洗濯に無添加の手づくり洗剤を使用し、粉石けんにスペアミントや酢を混ぜた石けん水で、床のふき掃除をしていた。化粧水や顔用クリームは手作りで、バラを使った化粧水やラベンダーを使った顔用クリームなど、手作りのスキンケアレシピも発明した。夏は、乾燥させたびわの葉のお茶をつくるなど、植物の薬効、植物パワーを活かした天然の暮らしの知恵を、たくさん、たくさん伝えてくれた。
私のように、コンクリートで密閉されたマンション暮らしだと、風や雨の音、太陽の光、木々のカサカサ音、小鳥のさえずり、草花のよい香りなどを五感で感じられない日常だ。だから、心が疲れた時には、緑にすいよせられるよう、公園にむかう。自然が自分を癒してくれることを知っているからだ。そう、自然崇拝の気持ちといってもいい。私のそんな気持ちが、自然との共生を実現しているベニシアさんへの強い共感につながっている。ベニシアさんのお庭は、和庭園というより、イングリッシュガーデンの趣き、まるで印象派の風景画のようだ。古民家もレトロおしゃれ。古い家具もべネシアさんの手にかかると、素敵に生き返る。ベニシアさんの生活ぶりのすべては、エッセイなのだ。無駄なものがなく整頓されている凛とした住まいの中に、手作りのもののぬくもりが揺らめいている。本当に素敵!。ベニシアさん、素晴らしいスローライフを見せてくれてありがとう。天国で安らかに!
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