「深夜食堂」に続き、安倍夜郎氏の人気漫画をテレビドラマ化。BSテレ東「たそがれ優作」が教えてくれるたそがれの時間

たそがれがある人生にはドラマが存在する。ドラマがない人生より、ドラマがある人生の方が、充実した人生なのだ・・と私は思う。

たまたま見たテレビドラマに親しみを覚えた。BSテレビ東京で毎週土曜日夜9時にスタートする「たそがれ優作」である。「たそがれ優作」の原作は、安倍夜郎氏の同名漫画（幻冬舎コミックス）。安倍夜郎氏は、食を通じて織りなす人間関係をテーマにした漫画家。安倍氏は、これまで、「深夜食堂」、「四万十食堂」などの食漫画を生みだしてきた。

ここで、安倍夜郎氏について軽く説明しておこう。安倍氏は1963年生まれ、故郷は高知県四万十市である（現在は荻久保在住）。早稲田大学時代に、漫画研究会に所属し、大学卒業後、CMディレクターとしてCM制作会社に勤務していたが、2003年「山本耳かき店」が、第53回小学館新人コミック大賞を受賞し、2004年にビッグコミックオリジナル増刊（小学館）に掲載された。そして、41歳に遅咲きデビュー、それを契機に、漫画家業に専念することになる。しかし、数回読み切り作品を掲載後、約2年間作品の披露はなかった。2006年、担当編集者から「医療漫画」か「食漫画」を勧められ、描いたのが「深夜食堂」。「深夜食堂」は、累計400万部を誇るヒット漫画となり、テレビドラマ、ミュージカル、舞台、映画化も実現した。「深夜食堂」は、新宿の花園界隈で、夜12時から朝7時頃まで営業している「めしや」のマスター（小林薫）と店に集う様々な人とのふれあいを通じて、お腹と心を満たす物語だ。
さて、「たそがれ優作」の話に戻ろう。「たそがれ優作」は、コミック雑誌「たそがれ食堂」（ 幻冬舎コミックス ）のvol.3から連載している漫画の実写化である。主人公は52歳バツイチ俳優の北見優作（北村有起哉）。呑兵衛の優作が、仕事終わりに訪れる店で、魅力的なマドンナと酒を飲み交わし、少しドキドキ、食って呑んでふられ、行きつけのバーでたそがれるストーリーだ。優作が酒をのみかわす美人は週替わりで変わる。
そして、優作が美人と呑み交わす店は全て実在するお店、実際の料理、実際の店の人達が登場する。リアルなロケ地、グルメ、それらはドラマの見所でもある。
第一話「年の差ワイン」のロケ店は、清澄白河のイタリアン「清澄白河フジマル醸造所」。1階がワインの醸造所、2階がレストランとテイスティングルームになっている。ドラマに登場した料理は、
・生樽ワイン、赤ワイン
・チーズおまかせ3種盛
・オータムトリュフのカチョエペペ
・鴨肉のコンフィ
・林檎のソルベ

第二話「山葵の味」のロケ店は、門前仲町の寿司屋「すし三ツ木」、
ドラマに登場したグルメは、
・ビール
・刺身
・おまかせ握り
・山葵が利いたかんぴょう巻

「たそがれ優作」に親しみを覚えたのは、一話、二話のロケ店が地元エリアの店だったから・・・。私自身、「清澄白河フジマル醸造所」には、何度か行ったことがある。
団地住まいのおひとり様生活を送る優作であったが、週替わり美人とお酒を酌み交わし、その都度、ドキドキ、気持ちを高ぶらせ、最終的にたそがれにたどり着く。優作がたそがれるバー「ともしび」には、愚痴を聞いてくれる、フランクなママ、茜（坂井真紀）がいる。「何、たそがれてるの？」、「別に・・・」、ママ、すごい洞察力で、物の見方、的確。

優作のような生き方をどう思うか？私は悪くないと思う。うらやましいとさえ思う。人生の後半となり日常に欲しいものは、ラブリーな気持ちとフレッシュな刺激。そして、なんでも打ち明けられる話し相手だ。優作の日常にはそれがある。優作のいい点は理屈っぽくない点だ。個性的な美女たちに気持ちをゆさぶられ、言いたい放題いわれ、時に自分が傷ついても、相手を傷つける言葉を決して言わない。一緒にいて癒される、ぽわーんとしたタイプ。そういう男性は、どんな世代の女性にも、もてる。女性が男性に最終的に求めるものは安らぎであり優しさだ。男性が女性に求めるものも、同じであろう。
一時、希望を持つことができたからこそ、たそがれにたどり着ける。たそがれがある人生にはドラマが存在している。ドラマがない人生より、ドラマがある人生の方が、充実した人生なのだ。きっと・・・。

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