私は子供の頃、ピアノを習っていた。ピアノの先生に才能を認められ、特別レッスンを受けたこともあったが、中学2年生の時、親の転勤で転校し、それをきっかけに、ピアノから離れることになった。大人になって、母親から、昔、ピアノの先生から、私を養女にしたいといった申し出があったけれど断ったのだと、聞いた。もし、私がピアノの先生の養女になっていたら、私は、今どんな人生を歩んでいたのであろうか。リトルダンサーを見て、私は、ピアノに夢中だった子供の自分を思い出していた。ビリー(ジェイミー・ベル)には、ダンスの才能があった。でも、子供の人生は、子供本人だけでは、決して決まらない。もし、ビリーの才能を見出し、バレエ学校のオーディションへと導くウィルキンソン先生(ジュリー・ウォルターズ)がいなかったら・・・もし、ビリーがオーディションにいくことを父親のジャッキー(ゲイリー・ルイス)が理解しないままだったら・・・ビリーはバレエ学校に入学できず、バレリーナになる道はそこで閉ざされてしまったことであろう。でも、ビリーはバレエ学校に入学でき、プリンシパルになった。ビリーには、自己犠牲を払ってでも才能を伸ばしたいと大人に思わせる、並外れた才能とバレエに向かい合う一途な気持ちがあったからである。ビリーが、バレエ学校のオーディションに受かってよかった。途中から感動で涙がとまらなくなったが、泣いた後は、とてもさわやかな気...