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【movie74】壮絶な人種差別と闘った人達の実話「遠い夜明け」

【movie74】壮絶な人種差別と闘った人達の実話「遠い夜明け」 日本では2023年6月16日LGBT理解増進法が成立された。世界では・・。

遠い夜明けは、1970年代のアパルトヘイト(人種隔離)下の南アフリカ共和国で実際に起こった出来事に基づいた映画。黒人解放運動の指導者スティーヴ・ビコ(デンゼル・ワシントン)と彼を支持するデイリー・ディスパッチ紙の白人新聞記者ドナルド・ウッズ(ケヴィン・クライン)の友情と民主化を巡る闘争を描いている。

見どころは、ビコとウッズの対話や交流、ビコの熱い演説や勇気ある行動、ビコの死の真相を本に書いて伝えるために国外脱出に挑むウッズとその家族の逃亡劇だ。ビコの死後、彼の思想を伝えるために奮闘するウッズの姿はまさに神(実際、ウッズが逃亡する際、ウッズは神父になりすましていた。)一筋の希望の光だった。ウッズとは対照的なのが、南アフリカの警察組織。黒人の差別と迫害は、身の毛がよだつ冷酷非情さであった。アパルトヘイトの残酷さや不条理さを目の当たりにし、人種差別や人権侵害に対する怒りや悲しみが心に刺さり、気分はどんよりするばかりである。が、この事実、決して封印してはならない。多くの人が知ってしかるべきことだと思う。映画には描かれていないが、亡命に成功したウッズは、ロンドンに到着した後、アパルトヘイトに反対する積極的なスポークスマンとなった。アパルトヘイト制裁のためにキャンペーンをしている米国をツアーした。その旅行には、ジミー・カーター大統領が手配した、米国国務省の当局者に演説するためになんと1978時間のセッションも含まれていた。ウッズは国連安全保障理事会のセッションでも講演している。そう、映画「遠い夜明け」は、亡命に成功したウッズが書いた本が原作なのだ。ウッズの原作をもとに、リチャード・アッテンボロー監督が、ウッズとスティーブ・ビコの物語を「クライ・フリーダム(遠い夜明け)」というタイトルで映画化したのであった。「遠い夜明け」は1988年に日本で公開。アカデミー賞では、助演男優賞、作曲賞、主題歌賞にノミネートされた。

人を差別し、人に危害を与え、人の命を奪う人は、現代も後を絶たない。しかも、それは、遠い場所の出来事ばかりとはいえない。一般人の日常にも、幼児虐待、学校での弱い者いじめ、家庭内DV、職場でのパワハラ、仲間はずれなど、身勝手な優劣意識から、多くの差別や暴力が生まれ、そこかしこに横行している。見極めたいのは、人間の二面性である。外面だけで人を判断するとひどいことになる。遠い夜明けの登場人物である南アフリカの警視総監(ジョン・ソー)がそうだ。リベラル派を装い善人づらしているが、実は極端な差別主義者で、黒人の活動家を次々と不当逮捕する。

アパルトヘイト廃止で民主化を果たした南アフリカ民族会議(ANC、南アフリカの政党)は、かつての支配層を安心させるため、民主化にあたり「白人の財産や暮らしには影響を与えない」ことを宣言し、その実現に努力した。アパルトヘイト政策を廃止させた大統領は、フレデリック・ウィレム・デクラークであるが、彼はもともとアパルトヘイトを推進する与党議員だった。しかし、大統領就任後の1990年に制度廃止を求め、当時、終身刑の判決を受け27年間獄中生活を強いられていたネルソン・マンデラ氏を釈放し、91年に制度の関連法を廃止した。1993年にマンデラ氏とノーベル平和賞に選ばれた後、1994年には、ネルソン・マンデラ氏が、南アフリカ初の全人種が参加した普通選挙を経て大統領に就任した。

さて、南アフリカ民主化後、黒人の財産や暮らしはどうなったのであろうか。1日2ドルの貧困ライン以下の生活を余儀なくされている黒人割合は、数十年にわたり高止まりで、経済的格差は当時よりも拡大している、多くの犠牲があって人種統合は一歩前進したものの、人種間の経済的格差は解決していない。貧困によってまともな教育を受けられない子供達も大勢いるのだ。経済的格差を解決してこそ、真の人種平等の実現が近づく。そういった意味で、南アフリカの実質的な夜明けはまだ来ていないのだと思う。

#デンゼルワシントン  #遠い夜明け #アパルトヘイト #人種隔離政策 #人種差別

 

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2024/12/21(土)