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【movie78】ハートウォーミングSFコメディ「ミラクル・ニール!」愛犬デニスが教えてくれる大切なこと
地球外生命体に対する地球人のメッセージを乗せたロケット探査機「アトラス・セントール」を受け取った知的生命体は、地球人が善悪の違いを理解しているかテストし、合格だったら自分たちの仲間に入れる、不合格だったら地球を破壊すると会議で決めた。
テスト対象として無作為に選ばれた人間は、見た目さえない教師のニール・クラーク(サイモン・ペグ)。ニールは、突如、右手を振れば、言葉にしたことがなんでも叶う全知全能のパワーを授かる。地球の運命は、ニールが、全知全能のパワーをどう使うかにかかっていた。当初、全知全能のパワーに気付いていなかったニールは、同僚のインド人理科教師レイ(サンジーヴ・バスカー)の「どんな望みも叶うとしたら何をするか」という問いに対して「愛犬のデニスが食べた原稿を吐き出させ元通りにしたい」、「人生を好転させるためなら何をする」という問いに対して「自分のクラスを宇宙人に破壊させる」と回答するが、それらはすべて現実となり、徐々に、自分に備わったパワーの存在に気付いていく。全知全能のパワーが自分に備わったことを知ったニールは、日常生活の中でその力を使い始めるが、正確に話さないと思い通りの結果にならず、その結果しばしば予想外の事態を引き起こす。さて、ニールは、地球を救えるか?
ニールの愛犬デニス(犬種はテリア)の声はロビン・ウィリアムズ(2014年没)。ウィリアムズは、コメディトークの天才!デニスの気持ちの代弁者としてうってつけである。そして、本作は、ウィリアムズの最後の出演作になった。
ウィリアムズがしゃべるテリアのデニスが理屈なしにかわいくて、表情がよい。ニールをみつめる瞳には首ったけである。
この映画の教訓は、しゃべれるようになり合理的な思考を得た犬のデニスのおしゃべりの中に込められているように思える。デニスは、しゃべれるようになっても、頭の中では、ビスケットのことでいっぱい。
「合理的でも要望はある、欲望は生きてる糧だからパワーで欲望を取り上げないで」というデニス。
結末では、愛情を獲得するためにパワーを使ったことをキャサリン(ケイト・ベッキンセール)に非難され落ち込んでいるニールに、デニスは、洞察力にとんだ究極の提案をする。
「パワーを捨てれば?。僕に譲って、僕は犬だから命令されれば何でもやるよ」と話しかけ、ニールからパワーを譲りうけたデニスがしたことは・・・。
デニスはニールに、「パワーを使えば哀れになる。許して。」と謝り、「この力の源を破壊し、永遠に使えないようにしろ」と言い放ち、右前足を高く上げた。その結果、知的生命体のいる惑星は次々に消滅し、地球消滅の危機を免れ、めでたし、めでたしだ。パワーを捨てたニールは、ありのままの自分でキャサリンにアプローチし、それもめでたし、めでたし。
本作を「安っぽく陰気なSFコメディ」と酷評している評論家もいるが、SFコメディってこのくらい軽い感じのほうが頭使わずみれて私は好きだ。頭が疲れている時にぼおっとみてリラックスできたし、ストーリーも超わかりやすい。小さな子供でも理解できる内容だ。ニールとデニスとの日常は、私と私の愛犬チャッピィとの日常と同じ。しゃべれない犬に話しかけたり犬に悩みをきいてもらったりするところもそっくり。ニールたちの日常の関係がほほえましく、心がとても暖かくなった。犬は主人が一番だし、主人にとっても犬が一番なのだ。デニスはしゃべれるようになって合理的な思考を身につけたが、主人の役にたつことが一番大切、ニールを想う気持ちが画面いっぱいにあふれてるので、犬好きな人は感動します。
この映画の監督は、モンティ・パイソンのテリー・ジョーンズ。モンティ・パイソンの他メンバーも声優として出演している。パイソンズが揃って映画に出演するのは、1983年公開の「人生狂騒曲」以来のこと。モンティ・パイソンのストーリーには独特の風刺があるところがユニークでおもしろい。本作をみて、モンティ・パイソンの他の映画もみたくなった。
ついでに豆知識。今、AIブームに乗じて人気のプログラミング言語「Python」は、モンティ・パイソンのパイソンの名からとられています。
サムネの動画は、Youtubeチャンネル、シネマトゥディ、映画「ミラクル・ニール」予告編より引用。
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